東海岸〜中西部大移動日記 08/26-09/02/98'

Aug 26 (Wed)

今朝も5時近く起床、ノースカロライナ州では最後のE-Mailとネットを楽しむ。運送業者が来たのはそれから4時間半後。

荷造りした時間より荷物持ち出し時間の方がはるかに短い。当たり前のことだが、これは日々の料理作りに追われ、家族にあっという間もなく食事を平らげられる主婦と似たような気分だろうか?
何もなくなった部屋で呆然と立ちすくむ。それでも最後の後片付けが待ち受けている。掃除機もなく、短い箒でせっせと掃く。これがアレルギー性鼻炎の作者には至極辛い作業。止まらぬくしゃみに閉口する。

近所のBluerger's Bagleで昼食を済ませ、I-85に乗る。ヴァージニアに入って約1時間程すると、Lake Gastonの景色が広がる。以前舗装工事で1車線だったこの道路も、今では随分舗装部分が増え快適になった。

Petersburgが近づくにつれ車量増加。小雨がパラつき、空模様も怪しい。I-95, Exit69へ抜け、第1日目の宿泊地へ向かう。AAAの地図だけを頼りに車を走らせる。

もうそこからは迷路に入り込んだ錯覚に陥りパニック!ホテルどころか荒廃した黒人街、料金所を抜けJames Riverに掛かる石造り橋、ヨーロピアンテイスト溢れる街路など通り過ぎること30分以上!部屋に着き、持参したチョコレートで一命を取り止めた、ホッ。

夕方5:30〜7:00はホテル水曜恒例のパーティー(フリースナックとアルコールのサービス)。
初日にしてタダでワインを楽しむ。一応遠慮したつもりだったが、気付くとグラス2杯は頂いていた。これで明日への活力もついた、さてゆっくりと休養するとしよう。

一言アドバイス−料金所で一旦停止するのは久し振り。大抵、1回通過につき25セントか50セントで事足りる。1ドル札でも構わないが、小銭あるに越したことはない。あっ、道に迷ったら取りあえずExitし、一旦停止して落ち着こう。場所次第では道を尋ねるのも危険!


Aug 27 (Thu)

「ノースカロライナ州がハリケーン域」とのニュースが流れている。ヴァージニア州もノーフォーク方面は危険、ホテルから見る木々は揺れ、雨足も強まってきた。

昼食に困らない様、アメリカでは贅沢品の、梅干し、おかか、昆布、海苔でオニギリを拵える。やはり出陣には昔ながらの和食に限る。

昨日迷った道、95号線北に乗る。ピッツバーグから40分位で最初の休憩所が現れる。悪天候の折、早めの昼食を取るため下車。肌寒いせいか食べる速度が自ずと速まる。満腹感と同時にお腹が痛み出した。この州の休憩所はトイレが湿気を帯び、蝿も飛び交い不衛生。

生憎トイレは混む時間、身障者用しか空いていない。罪悪感を覚えつつも”背に腹は替えられぬ”と直行!苦しむこと約30分間。

血の気は失せ死人同様、冷や汗タラリで再び車に戻る。そこからは昨日のように景色を楽しむ余裕も持てず、目的地へ一刻も早く到着することだけを考えた。

ワシントンは予想以上に黒人比率と荒れ果てた住宅地が多い。路地も狭く、ホワイトハウスなどは、ニュース画面から伺う方が立派に思えた。日本を離れて以来の地下鉄や広告付公共機関バスは物珍しかったが戸惑いすら感じてしまう。

せかせかと帰路を急ぐ乗客、路上で質問しても”忙しい”と早口で通り過ぎる人...。食べ物ひとつ買うにしても不場所の街中。すっかり都会生活を忘れていた自分に気付く。ノースカロライナが生活条件の良い州に上げられたことがあるのも頷ける。

今日の失敗−Metro地下鉄自販機乗車券の買い方が解らない!Foggy Bottom駅には詳しい購入方法が記されていたかった。先ずは→行き先、乗車人数(子供5歳以下は無料)、往復か片道か、合計額を先に入力して現金を挿入。
慌ただしい都会では親切な案内人を探すにも大変!下手すると案内料を取られるゾッ!


Aug 28 (Fri)

昨晩はエアコンを切って床に就いたものの、今朝は肌寒かった。台風一過の如くではなかろうが、外出して暫くは風もあり爽快感すら味わえた。

ノースカロライナ州を後にしても、テレビで被害の光景が映し出される度、他人事とは思えずブラウン管にかじりついて見たりする。

先日引っ越しを依頼したMayflowerに積荷の到着日を電話で問い合わせた。移動中のホテルから客が問い合わせなければならないとは前代未聞!

引っ越し料金が安い分こういう皺寄せが来るのは如何にもアメリカ。結局ミネソタへ荷が着くのは9月1週目の様子。こうも日数を要するとはね...。

必要に迫られ、AAAのワシントンオフィスで明日からの日程に沿ったホテル予約をする。ホワイトハウス至近距離のペンシルバニア通り角に存在し、外観も豪華。

この辺りは”犬も歩けば何とやら”で日本人が多い!修学旅行集団風、流行の先端行く高校生等がシャトルバスから降りてきた。吉川ひなのを意識した女子学生、サブリナパンツにチビシャツ、格好はそれっぽくも日本人体型が災いしている。

いや、他の学生等も服に着られて、着こなしている若者はいない。それよりかマウンテンバイクで疾走中の無線抱えた地元の若者等が断然際立っていた。

スミソニアンへメトロ地下鉄の1日乗車券(5ドル)で向かう。エスカレーターを降りると、朝とは打って変わり高温多湿、ジリジリと太陽が照り付ける。案内所で見所を物色後、ナチュラルサイエンス博物館だけ足を運ぶことにした。

どうも当初イメージしていた近代美術館とは異なる。要所をカメラに収め、一目散にクーラーの効いたホテルへ戻る。

今更ながらのMan In BlackをHBOで楽しみ、今日も時は過ぎ行く。林立するビル群、飛行機のジェット音、パトカーのサイレン鳴り響く都会滞在。急に田舎から出てくると精神的に疲れる。さあ明日は新たなる田舎へGo!

今日の失敗−また地下鉄の件。1day passなる1日乗車券を知らなかった。平日9:30AM〜深夜まで5ドル、それも何度でも乗車可能!これを使うと使わないとでは1日の出費額おお違い!


Aug 29 (Sat)

ピッツバーグへ:ワシントン中心地から66号線→495号線→270号線→70号線→76号線、と箇条書きすれば至極簡単なルートだが、作者最初の段階で反対方向へと約1時間程も進んでしまった。午前11時頃にホテルを出発し、ピッツバーグへ到着したのは夕方5時近く。

道中は殆ど山岳地帯、200数十マイルの距離でも2車線、旅行ガイドに記載されている通りの時間では到着不可能。しかも休憩所はかなり少ない。Exitも次迄はポーンと間隔が開く。ここで先日のトイレ事件が発生しなくて良かった。

休憩所トイレ前でトラベルクーポンを入手。これは20〜40数頁、ヴァージニア、西ヴァージニア、ワシントン、メリーランドの各州をルート別に表示したホテルクーポン。

各休憩所で無料ホテル予約時に使用出来る。宿泊レートは20ドルから高くても70ドル台。4ヶ月毎の情報更新は、AAAの情報より役立つ。

北部クランベリーが本日の滞在場所。AAA未記載の新しいホテルは殆ど貸し切り別荘!近所で買い物中に気付いたこと、それは黒人比率がかなり少ない、ということ。

昨日まで7割以上?が黒人の街ワシントンに居たのが嘘のよう。店員も白人だけ。短時間のうちに見た黒人は約4〜5人だけ。

貸し切り別荘の屋内プールで全身の疲れを取る。去年毎日屋外で鍛えた水泳の腕前は未だ衰えていなかった。

だが個人所有感覚のプール、他に誰も居ないというのも寂しい、いやこう思うのは、やはり個人所有したことない庶民ゆえの貧しさ。庶民はプールを他の人と共有することに慣れきっているのだ。田舎者は都会で疲れ、再び田舎で元気を取り戻す。たかが旅行であっても...。

一言アドバイス−料金所でチケットを取る(自動)。Exitで現金清算。長距離になると1、5、10ドル札が必要。


Aug 30 (Sun)

ペンシルバニア州からオハイオ州へ。今日のルートは76号線→80号線。道路標示通りに車を進めようとしたその時、"TURN PIKE"なる文字が目の前に!

実に簡単な単語、だが意味が解らない。ぐるりと短いカーブに沿って行った先は単なる料金所。そうか、有料高速道路という意味だったのか、と納得。

運転中は何処を見渡してもトウモロコシ畑か牛舎、木々だけ!一体この辺りの人達はどうやって買い物しているんだろ、と余計な心配などしながら州境を過ぎる。

オハイオ州の日曜日は要注意!2時間余りの間に、覚えているだけでも6〜7回はスピード取締中のパトカー発見。

約50マイル間隔毎の休憩所は2箇所営業されておらず、3箇所目は車でごった返した。その2件は経営不振に陥ったか、周辺も活気がない。だが用を足す運転者や同乗人にとっては迷惑な話。

最初の休憩所にはペットのエクササイズエリアがあった。ペットも車の長旅は疲れるのだろう。食事するベンチと隣接したその場所からはペットの異臭が漂い、実に大迷惑!こんなこと言うと、きっとペット愛好者から足蹴りされるかも知れない...。

かつて日本からの乗り継ぎ地点であった、デトロイト空港近く、トレドの街が今日の滞在地。昨日同様、屋内プールで軽く泳ぎ、1年振りのホットタブ(=Whirlpool)で温泉気分を味わう。日本人はやはりこれがなくてはね!


Aug 31 (Mon)

オハイオ州の交通取締りは毎日行われていた。”犯罪率が少ない=取締り強化”という次第。アメリカでのスピートに慣れた現在、時速80キロで走ることすら苦痛だが、約10分おきにレーダー車が停車している。

もうこれは政府要人を乗せた公用車専属運転手並みの運転を強いられる。

はやる気持ちを抑え、80号線から90号線へ。オハイオ州の牧歌的風景から一転し、製橋所や辺り一面排気ガスの殺伐としたインディアナ州の風景。何か違和感あると感じていたのは、電線の存在。日本ではお馴染みだった電線も、ここでは異様にすら映る。

いよいよシカゴへ!徐々にミシガン湖も見えてきた。車両増加につれ高層ビル群に接近、世界一の高さを誇るシアーズビルが今、私の目前に聳え立つ。

見るもの全て斬新、それでも反対車線に映る廃虚ビルや火災後、放置したままの高層アパートの存在もシカゴのもうひとつの表情であると知る。

本日の滞在地は空港近く、アーリントンヘイツ、ジェット音がウルサイ!日本人が多い為、需要と供給のバランスがとれ、ヤオハン、病院、不動産まで全て日本語環境が整っている。

殆どが日本語書籍類の書店、一瞬我が目を疑う。”逆カルチャーショック”がどういうものかを既に味わってしまった。

忘れていたが、ここは東部標準時刻より更に1時間遅れの大西洋標準時刻、”時差”があったのだ。同じアメリカで幾つもの時差が生じるというのが不思議!

一言アドバイス−イリノイ州からウィスコンシン州へ向かう時は、80号線左側をキープ(列車と平行して進む)。シカゴは大型車両や一般車両の通行量が多いので戸惑わないように。


Sep 01 (Tue)

小汚い格好で朝食を摂りに行くと、皆それなりにTPOを弁えた服装。何日も移動生活をしているせいか、乞食風情が板についてしまったようだ。朝から食欲あり、2〜3回お代わりするというのも、その一例だろう。

しばらく日本食とは無縁かも知れない、ということで昨日も来たヤオハンで早めの昼食。自分では作っても、アメリカへ来て1度も外食したことなかったラーメンを注文。

味噌味を頼んだが、やはり九州人は”豚骨”じゃないと駄目!ドロッとした骨エキスが決めての博多ラーメンね。そこまで贅沢も望めない現況の中、それなりの感動を覚えた。ついでに夕食にも、日本以来御無沙汰の惣菜を幾品か購入。

満たされた胃袋で向かうはウィスコンシン州、90号線を西へと直進するのみ。だが、イリノイ州を抜けるまではトラック量が多く、車道も2車線で狭い。ついでに小刻みに料金所があり煩わしい。

救いは95.5MHzのジャズ専門局、WNUA(この局名は定かでない)から流れるスムースジャズ。移動中、7割程はカントリー専門局で音楽環境は最悪だったが、都会にあっては満足!それも束の間、ウィスコンシンに入るとまたカントリーばかりのラジオ局。

トウモロコシ畑と広大な自然は移動中変わらない風景だが、ウィスコンシンはより美しく落ち着いた風景が広がる。休憩所も整い快適なドライブコース。

最後の滞在地は昨日の滞在地と最終目的地(ミネソタ州ロチェスター)の中間地点にあたる、ポーテージという小さな街。いよいよ明日はミネソタ入り、感無量でホテルの部屋からのパノラマビューを楽しみつつ、長かった引っ越し騒動から移動中までを振り返る。

ひとこと−日本人が多い場所では、こざっぱりした服装が無難。南部アメリカ黒人系ファッションを誇らしげに披露した作者だったが受け入れて貰える雰囲気は無く、浮いた!


Sep 02 (Wed)

広大なウィスコンシン川を横目に90号線を更に西方へと進む。途中、岩場や刑務所の景色が見られ、心なしか秋模様。休憩所でノンビリしようと車を止めたが、薄手シャツ1枚では肌寒く、早々と引き上げることにした。

ウィスコンシン州とミネソタ州の境は、ブラックリバーを越えると壮大なミシシッピ川が現れる。まるで湖か、波でもあれば海にすら見える程の壮大さ。”自然だけ”には恵まれた両州のようだ。

その後のドライブ環境はかなり悪く、工事中で1車線、しかも田舎の為かノンビリ運転の車が多い。見る景色も一面、トウモロコシ畑で退屈極まりない。

ようやく52号線、最終目的地のロチェスター方向へと進むことが出来た。ここで目立つ物と言えば何と言っても、メイヨークリニックの高層ビル群。1つの建物につき約20階以上はあるだろうか?

ニューヨーク全体を4分の1位に凝縮し、無個性の田舎をくっつけた雰囲気の街。予想よりは機能的にこじんまりと収まり、まんざらでもない。

新しいアパートは全てが屋内で事住む。今は先の天候など分かる筈なく、その便利さに驚くばかりだが、裏を返せば、それだけ冬が厳しいということ。ゴミ出しも、駐車も、全てが屋内なのだから...。
買い物に出かけてみた。鮮度は、ノースカロライナ州がはるかに上回り、物価も安かった。しかも必需のワインが置いてない!

並びのウェアハウス店で入手出来たものの、”買えさえすれば良い”という雰囲気で物足りない。ウェルスプリング、フォーラーズ、サザンシーズンが懐かしい。

片付かない部屋で、久しぶりにワインを頂く。Walnut Crest 98' Merlot Rapel Valley、裏ラベル通りのチキンハムとマイルドチーズを購入したが、以前程の美味しさは無かったのが残念。内陸部では食べ物の鮮度は問えないのだ。

何はさておき、周りの静寂の中、明日への体力を貯える為に先ず睡眠!


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