ー大貝獣物語ー
THE MIRACLE 
OF THE
ZONE
ザ・ミラクル オブ ザ・ゾーン
ボードゲーム
召喚対戦



製作:天田印刷加工(株)
プレイ人数2〜4人
説明書31ページ
9歳以上向け
プレイ時間1時間以上
1999年頃発売
購入価格2000円


ゲーム紹介

 えらい長い名前だが、それが正式名称なんだからしかたがないボードゲーム。それが本ゲーム「(めんどいんで早くも略)召喚対戦」である。
 さて、この大貝獣物語だが、ファミコンやらゲームボーイやらで聞いたような気がするが、元々はガキンチョ向け漫画雑誌「コミックボンボン」の読者参加型企画だったらしい。それで、この手の雑誌では当然のごとく商品化・コンシューマーゲーム化され、そこそこヒット!みごとにジャリ共からお小遣いを搾取したのであったようだ。が、ワシはその辺の事はよくわからないので略させてもらうが、本ボードゲームも、そのシリーズのひとつであったりする。ちなみに「MOZ」と略するらしい。コンシューマゲーム、カードゲームがそれぞれ存在しコンシューマーゲームはあのハドソン、カードゲームは天田印刷が製作フューチャービーが販売していたりしているが、まあどちらも「なんだかな〜」な出来らしいのでその辺の話も省略する。

 とにかくばかでかい!ハコにはマップボード・ルーレット・カード・コマ・チップが入っていたらしい。

カードの天田印刷が作っただけはありカードの数が半端ではない171枚。それらを手にとり、しげしげと見ながら「流石カードの天田、カードも綺麗に裁断されているな〜」なんぞと関心していると、「いや〜切り離すのに苦労しましたよ〜」とこのゲームを購入したK氏がなにげに話し始める。「オイオイオイ頼むよ天田〜ちゃんと裁断ぐらいしとけって!」と思ったのはこの際秘密にしておこう(^^)

 同梱されているルールブックは31ページと結構ページ数があり、この手のゲームとしては意外にボリュームがある。「ほほう、やるじゃない(ニヤリ)」と我々現代ボードゲーム研究会(今作った)会員(通称:現ボ研)を喜ばせた。

だが、ページを開くと、いきなりやる気の無さそうなマンガで気力が萎えてしまいました。(ちなみにマンガは照屋寿だそうですが、誰ですかそれ?です)

 さて本ゲームの目的・勝利条件なのであるが、ゲーム終了時にマップの四隅にあるマスタールームを多く占領した者が勝利だそうです。ゲームの終了は、マスタールーム全てがプレイヤーによって占領されるか、召喚するモンスターカードの山が無くなった時点。ただし、モンスターカードは序盤でこそ使われますが、中盤を過ぎるとほとんど引かれる事は無くなります。なので、よっぽどの事がないかぎり、無くなる事はありません。事実上マスタールームの占領によって終了されます。

 マップにはダンジョン(地下牢)を模したようなマス目が網目のようにはりめぐらさており、プレイヤーはルーレットで出た目の数だけこのマスを進めます。その際、進行方向を常に考えなければなりません。そのために、「後戻りができない」という条件さえ守れば、どこをどう進もうと自由です。

 マス目には基本的に
1、戦闘時に使うモンスターカードを1枚ゲットできる召喚マス
2、戦闘・移動に影響をもたらすアイテムをゲットできるHELPマス
3、他プレイヤーと戦闘できるバトルマス
4、モンスターを召喚する際の条件となる属性チップを奪う事ができるチップルーレットマス
の4種類が存在するのだが、このゲーム、後述するように戦闘ルールがすごい甘チャンなのです。そのため、初期段階を過ぎれば戦闘系のマス目に止まる事はほとんどなくなり、やたらとHELPマスとチップルーレットマスばかりに止まるようになってきます。

 戦闘はバトルマスにとまったプレイヤーが、他のプレイヤーにしかける戦闘と、マスタールームにいるモンスターとの戦闘の二種類があります。基本は同じで、モンスターカード一枚と戦闘に効果を発揮するアイテムが描かれているヘルプカードがあれば、それを更に一枚追加して場に出します。そして、互いに出し合った戦闘力の大きいほうが勝利するという非常にシンプルなシステムです。

 ただ、勝っても相手の戦闘で使用したモンスターカードを一枚だけ奪うことができるだけ、負けた側はスタート地点にもどるだけ。これでは全然痛くもないし、おいしくもないし、ついでに緊迫感もないので、必然的に戦闘は下火になります(足引っ張りは別です)。
 モンスターカードは戦闘に負けないかぎり無くなる事はないので、そこそこ強いカードが2枚もあれば、あとは使う事もなくただただ溜まっていくカードのインフレ状態。というか、ハッキリ言ってぬるいです。

 一応、HELPカードに「強制トレード」という相手と自分の手札を1枚だけ交換するカードがあります。それでカードを流動させようとしていますが、この強制トレードカードはHELPカードの中に2枚しか存在していないうえに、1枚のみの交換では流動しているとは言い難いわけです。
 そこで、「カードは使い捨て」「カード五枚奪取」「負けたら手札全部廃棄」「持ち札は全部で7枚まで」等勝手なルール追加(ローカルルールとヒトは呼ぶ)でカードの消費・持ち札を激しくするべきでした。このゲームのこの部分が一番悔やまれます。

 さて、手札になるモンスターカードには、出来のあまりよろしくない気力の萎える「イラスト」と「戦闘力」と「属性」が記載されています。
 戦闘力は「4R+3」みたいな感じで記載されておりこれは「ルーレット四回回して出た目の合計+3」という意味らしい(ちなみにルーレットは1〜5の目が存在する)

 属性には「火」「水」「風」・・・といったふうな10種類の属性のどれかひとつが描かれており、その属性と同じ属性チップ(初期時は全種類一枚ずつ持っている)をプレイヤーが持っていないと使用できなません。そのため戦闘で勝っても全然おいしくないこのゲームでは、この「カード使用禁止」のために属性チップを奪う事も立派な戦術となります。
 属性チップを奪えるのは、チップルーレットマスとHELPカードだけです。そのため、やたらとチップルーレットマスに止まるような、ある意味不毛な足引っ張りの展開になるのです。まあ、これはいい大人になった我々が「他人を妨害する事によるひねくれた喜び」を知ったためで、このゲームの狙った購買層である『純真な小学生諸君』はそんな事はしないのであろうから、問題にはしないことにします(^^)。

 だが少年よ、恐れてはいけない。立派なボードゲーマーになるには、この程度の足の引っ張り合いは日常茶飯事。いざとなれば、迷うことなくチップを奪い取れ!そして独占せよ!!
 ボードゲーマー的提案としては、ウェストエンドの『魔法の軍団』と同じように、属性チップを持っていなくても「バレなければ全てOK!」というルールでやるのが大人の態度であると思います。

 召喚マスには通常のマスの他にドラゴンルームなるマスも存在します。このマスに止まると、通常の召喚マスに比べるとかなりの確率で強いドラゴンのモンスターカードをGETできるのです。ところがそう簡単に貰えるわけが無く、そのマスにはいるためにはHELPカードの「鍵」カードが必要なのです(一部モンスターも特殊能力で可能)。
 そんなわけで、ゲーム展開は序盤「鍵」を得るためにHELPカードを集め、強力なモンスタードラゴンカードをGETして戦力を増強。それ以降は他プレイヤーの妨害をするため「属性ルーレットマス」に止まり、他プレイヤーの属性チップを奪いつつ、MAP4隅のマスタールームの占領を目指すという形になりがちです。かなり自由度の高そうなルールなのですが、勝とうと思えば同じ展開でゲームを進めざる得ずワンパターンに陥りがちです。

 説明書には「シンプルで奥が深く、何度でもトライしてみたくなるように作り込んでおります」と記載されておりますが、「確かにそこそこ作り込んではいるのだろうが、詰めが甘すぎ」で私ならこの程度で「作り込んだ」なんぞとは恥ずかしくて言えない出来です。もうちょっと煮詰めれば、いいゲームになったのに詰めの甘さが残念で仕方ありません。
(阪灘慧紋)


評価

評価した人 評価(5段階) コメント
阪灘慧紋 ☆☆☆ 本文を読むと誤解されそうだが決して悪いゲームでは無い。詰めが甘いんだよな〜それがすごく悔しい。個人的にはドラゴンカード「モリゾウ」君(ゲーム終了時に所持していると最下位になるモンスターカード)のおかげで負けたのが面白くないので☆3個。
知人M ☆☆☆☆ たしかに、指摘のとおり詰めが甘い。特に、ドラゴンカードの中に『持っていれば強制的にビリ』というキングボンビーなカードが合ったりするのには閉口した。しかし、努力の跡は見れるだけに、惜しい。努力の点も買って、星は四つ。これでカルドセプト並みの完成度が在ればなあ。って、カルドセプト(SS版)の発売は97年10月・・・ダメじゃん、これ・・・
知人K ☆☆☆ 属性チットが早くも1枚無くなりました、どなたかご存知ありませんか?(;´Д`)






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